06.4.2 up


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 「死神ハイデリヒ」

上記のイベントから 始まった「死神ハイデリヒ祭」

@楓 咲十子 (Croix Rouge)

06.4.16UP
 
 A新太 様 (LIBELA)
  

 B篠原ゆう 様 (W−AGENT


 C竹本聖 様 (salt box
  

 D光@倉庫番 様 (ALWAYS
  

 Eにあ 様
活動休止中?
 (Toy-poccke


一巡で終了予定です!
 
@

「何でそんなに、つまらなそうな顔をしているんだよ…おまえ。俺達といてもいつもうわの空じゃんか…!」
 ハイデリヒが同僚と、たまにかち合った休日を楽しもうと、公園でランチをした後、談笑しているときに、突然その中の一人がハイデリヒに向かって言った。


 ―え?僕、笑っているじゃないですか?今だって。


 ハイデリヒは目の前にいる友達に向かって笑って答えた。

「…目が笑ってない。オマエ、俺達の事見てない…」


 ―そんなことないですよ。ほら、見ているじゃないですか?目の前の君を。


 ハイデリヒはあくまでも微笑をたたえたまま友達を見つめ返す。
 その視線に、友は耐えられないといった風に一瞬表情をゆがめ、何かを言いかけた口を再度きつく閉じて。踵を返して公園の出口に向かって走り出した。

「お、おい!」
 別の仲間が、後を追うように立ち上がる。
「ごめん、ハイデリヒ…変なこと言ってるよな、あいつ。…でも、俺、あいつの気持ちわかる…。おまえってさ。確かに俺達の目の前にいて、笑ってくれるけど…いまいち、誰に対しても同じようで…楽しくなさそうなんだよ。なんていうか…存在感がないんだよ…仕方なくって感じで、…話していても空気のようで…。ご、ごめん、こんなこと言うつもりじゃなかったんだけど…俺、あいつ追いかけるな。今日はつき合わせて、ごめん…」

 立ち去ろうとする足を止めて、一言残してから追いかけいった。
 残されたハイデリヒは、ふと思った


 ―なんで?存在感ってなんだろう?だって、自分はここにいるだろう?


 ちくっと、心に棘を指した。


 ―帰るか。

 
 友の残した言葉を、それ以上吟味する事はなく、心に留めることなく、ハイデリヒは空いてしまった時間を埋めるために、目的もなく歩き始めた。





「アルフォンス!指令が来たよ。」
 街を歩いていると、頭上から声が聞こえた。ゆっくりと見上げ、声の主を探すと想像していた通り、使い魔の鴉がそこにいた。
 使い魔を一瞥すると、ハイデリヒは無言で視線を前に戻す。
 
 

アルフォンス・ハイデリヒ。死神。


 いわゆる、人間の最期に立ち会うその役割は、残された人々から見れば大切な人を奪っていく悪魔に見える。
 しかし当の本人からみれば、人間として生まれたからには誰もがも逃れることが出来ない「死」に迎える前に、予告を告げてくれる使者である。
 自分の最期を告げられたときは、誰もが衝撃を受けるが、最期には受けいれ遣り残した事を終えてから、その身を迎えに来てくれた死神にゆだねる。予告をしてくれたことに感謝をしながら。

 生きとし生けるものは例外なく「死」から逃げることが出来ない。だから、神が最期に与える慈悲なのかもしれない。死神という存在は。
 

 しかし、その存在の真意は誰も知る術はない。


 死神は人のように女の腹から生まれる訳ではないが、人とまったく同じ外見を持ち、感情もある。

「何で、自分はこんなに多くの人を、見送らねばいけないのか?」

 その感情ゆえに、多くの死神は自分の存在意義に関して迷う。 しかし、「迷い」が、人にとって救いにもなる。

 自分を惜しんでくれる人がいる、それが救いになるのだ。人が最期に触れる、死神の感情が…


*****

 司令本部に、到着したハイデリヒは、自分の担当の上司の部屋に向かう。
「アルフォンス・ハイデリヒです。入ってもよろしいでしょうか?」
「来たか。ハイデリヒ」
 ノックをしたすぐ後にドアの向こうから声がしたので、ハイデリヒは音を立てないようにドアを開けた。すると担当上官であるロイ・マスタングが、窓際のデスクから顔を上げたところだった。
「こんにちわ。マスタングさん。次の任務と聞きましたが?」
 笑顔で、ハイデリヒは指令書を受け取るために手を伸ばしたが、空を切った。
「また、そのつくり笑顔かな?」
 マスタングは、頭よりちょっとだけ高く持ち上げた紙面をひらひらさせる。
「そんなことはないですよ?」
 ハイデリヒは、その仕打ちに対しても笑顔のままだった。
「…だから君はさ…君は仕事していて楽しいかい?」
「仕事は楽しむものではないですよね?」
 ようやく、わからないという感じに表情を崩した。それを見て、マスタングは小さく溜息をつく。
 
「…君は何のために仕事をしているんだい?」
 少し躊躇ったあと、マスタングはかねてから思っていた事を聞いた。

「任務があるからですよね?」
 こちらは躊躇わずに答えた。

 この答えを聞いて、マスタングは今度は大きく溜息をついた。そして、改めて指令書をハイデリヒに手渡した。

「今回の対象者は『エドワード・エリック』。あと、2ヶ月だ。」
「2ヶ月?今回はまだまだ先じゃないですか?何故ですか?」
「…うん、彼のケースはちょっと特殊でな。彼は…次元を越えて、そこにいるんだ。」
「次元…?それはどういうことですか?」
「…私の口からはあえて言わない。彼に聞いてみるといい。準備が整い次第出発したまえ」
 マスタングはハイデリヒの手のひらに優しく指令書を乗せて、椅子に座り書類に視線を落とす。
これ以上説明することはない、と態度で示していた。

 それを察し、ハイデリヒはそっと部屋をでた。




「…君が自分の感情に気付くのは、いつなんだろうな」

 閉まる扉の音を確認してから、マスタングは小さく呟いた。







 ハイデリヒは、すぐに準備を整えてた。実際用意等はほとんど必要ない。心構えだけ。

 ゲートの前に立った。いつものように一歩踏み出す。

     何故だか、その時に友が刺した心の傷がちくりと痛んだ。





アミダでトップバッター…になりましたが…
非常に迷いまいした。

いきなりであった所からはじめてもよかったんですが、ハイデリヒの背景なんぞを書いたほうがいいのかと…?
その方が、何でハイデリヒがエドワードと出会ってからのことが生きるんじゃないかなあ?と思ったんですよね?

深ーい、設定まで考えて、ぐるぐる回ってしまったんですが、それをやるとリレーじゃなくなってしまいそうなのであえて、さらっと流したのですが。書けば書くほど面白い設定です〜!
 結構、この設定にはまりました。自分。


…エドと出会うところまで書くかどうかを迷ったんですが…その設定は、何処で、どんな風に出会うかとかは
それはお譲りすることにして〜(…という名の責任転嫁!)










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